アスペルガー症候群の特徴と傾向をふまえた付き合い方

2021/12/22

家族

長年、独特で特徴的な夫の行動を見てきました。医療機関の受診はしていませんが、妻の私の分析では「夫はアスペルガー症候群」であると確信しています。

アスペルガー症候群は生れつきの脳の機能障害であり、有効な薬はありません。専門医を頼るとしても、認知行動療法といったカウンセリングが中心となるでしょう。

本人が医療機関の受診の必要性を感じていなかったり、応じなかったり、グレーゾーンの場合は、専門の窓口に相談する流れにはなりにくいです。

つまり本人や周りの人が、アスペルガー症候群の特徴や傾向をふまえて自ら対策するしかないのが実状なのではないでしょうか。

私と同じように困っている人の参考になるべく、アスペルガー症候群の傾向がある人の特徴と対応方法をお伝えしていきます。



アスペルガー症候群の特徴

なんと言っても「反復行動」こそ、アスペルガー症候群の人の特徴の代表格です。

同じ行動を好む

アスペルガー症候群の人は、「同じ行動」を繰り返すことで安心感をえているようです。

同じ物を好んで食べたり、日課をこなしたり、決まりごと(こだわり)のパターンが見られます。


例えば、毎日朝食に同じ物を食べる、食事の前には決まってトイレに行く、寝る前に水を飲む…といった感じです。これらの例は普通によくあることですが、徹底的に必ず繰り返し行われるところが特徴的です。

アスペルガー症候群の人は、こだわりが強く、ルーティーン(日課)でしていることは絶対にやらないと気が済まないようです。

こだわりが最優先

アスペルガー症候群の人は、こだわりを最優先します。こだわりを成し遂げるのに邪魔になるものは許すことができません。

こだわりの行動を自分のペースで、自己中心的にこなします。導線上(同じ空間)に他の人がいても優先順位に関係なく、自分の権利を主張します。

例えば筋トレや英語学習、家庭菜園など、趣味や日課として理想的な内容だとしても、周りの人の意見や状況を一切考慮せずに自分のやり方をつらぬきます。


シェルティお散歩中
犬の散歩時間も定刻


こだわりが自己完結しているなら良いのですが、周りの人を巻き込むと厄介です。
他人に対しては、ある程度自分の希望を押さえられますが、家族に対しては遠慮なしに我を通してきます。

場所や時間等に関して相手の状況をさしおいて、こだわりを優先させるので問題が出てきます。

怒りや不安のコントロールが苦手

イレギュラーな事態に遭遇(そうぐう)すると、アスペルガー症候群の人は特に動揺(どうよう)しやすいです。

不安感が大きいので、普段から慎重に計画的に行動しています。場当たり的に行動するのが苦手なのです。

何かの出来事がきっかけで怒ったり、不安になると自分の中で消化するのが困難です。

嫌なことは人に話すことで自分を落ち着かせようとします。気持ちのコントロールがきかずに延々と愚痴(ぐち)を言い続けることもあります。

家族や友人に出来事を話したり、グチをこぼすのは誰にでもあることです。特徴としては、相手の状況にお構いなしに自分の気持ちを吐き出したり、文句やグチが止まらないところです。

アスペルガー症候群の夫や娘を見ていると、嫌なことや心配ごとでささいなことでも自分をなだめたり、気持ちを立て直すのが苦手なようです。

「まあ、いいか。仕方ない」と思えるまでに、時間がかかるので、根気よく対応するしかありません。

アスペルガー症候群とのつき合い方

 【周囲が対応するための五つのエッセンス】

①三つ組の障害(※1)をPDD(※2)の特徴として理解する。

②苦手なところは、本人の責任ではないことを前提に考える。

③よいところ、長所を見つける。PDDの特徴のために起こる苦手な面は過度に非難しない。

④本人も、自分の問題点を自覚する。

⑤できれば、一つひとつの具体的な対応法は本人と話し合って決める。


※1 三つ組の障害とは

  1. 社会的相互交渉の障害
  2. コミュニケーションの障害
  3. 想像力の障害とその結果としてもたらされる常同・反復的行動パターン


※2 PDDとは

「広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)」のこと。

PDDあるいはアスペルガー症候群の診断名は「自閉スペクトラム症または自閉症スペクトラム障害」へ変更されました。

三つ組の障害については、自閉症研究の第一人者のローナ・ウィング医師が定義したものです。


そして三つ組の障害に加えて、さらに二つの傾向に留意する必要があるそうです。

アスペルガー症候群 2つの傾向

①不注意

生活の中で見られる特徴としては、話を聞いていないように見えたり、忘れ物が極端に多かったりします。

②衝動性

現代的にいうと「キレる」ように怒りやすかったり、他動性の特徴とも重なりますが他人の話にも口を出したりしがちです。

[参考文献:大人の発達障害 アスペルガー症候群、AD/HD、自閉症が楽になる本 備瀬哲弘著 集英社文庫]


特徴と傾向をふまえた対応

こだわりが強く完璧主義、自分の正当性を常に主張してくるので、対応する側は正直疲れます。

自分にも厳しく、他人にも厳しいので、対人関係において「ゆとり」や「あいまいさ」も大切であることが理解しづらいようです。


空に広がる雲
ゆとり・あいまいさも必要

アスペルガー症候群の人にとって「ルーティーンは最優先」なので、周りの人は関わらないのが得策です。距離と時間を共有せずに別行動した方が、こだわりに巻き込まれずに済みます。

不注意に関して

物の管理が苦手なようですが、置き場所さえ決めてあげればルール通りに元に戻す傾向にあります。

鍵、腕時計、文房具など、よく使う物の「定位置」を決めてあげるとよいでしょう。


物事の前提というか、一般的な定義をふまえることが苦手なようです。

私の夫を見ていると、家電や道具の取り扱いを理解しないまま使い始めたり、うまくいかない時に原因をつきとめられなかったりします。


例えば、戸がスムーズに開かない時に、何か引っかかっていないか確認することなしに力任せに開けるといった行動を取りやすいです。

トラブルが起きているかもしれないという事実を認めるのが嫌なので、問題点を探すのではなく、とにかく通常の動作をつらぬこうとします。

周りの人が気がついて、ソフトに問題点と解決策を伝えると良いでしょう。

衝動性に関して

想像力の欠如、自己の正当性を固持、対人能力の低さにより、人とのやり取りの中で、すぐに怒り出すことがあります。

日常的によく不機嫌(ふきげん)になり、怒ることも多く、「キレる」ことも珍しくありません。

キレると、怒りや不安感が非常に大きくなって、どうにもならなくなり徹底的に相手を攻撃するスイッチが入ります。

私の夫の場合は、言葉で相手をおどしたり、ひどくののしります。手を出すことは、ごくごくたまにあります。

キレて攻撃体制に入ると、しつこくひどいことを言い続けるので、その場を離れるのが一番です。毒を浴びれば浴びるほど家族はストレスがたまるので、まともに受け取ってはいけません。

アスペルガー症候群の人がキレたら、近くにいる人はトイレや他の部屋へサッサと移動しましょう。

少し時間をおいて、元の部屋に戻ると何事もなかったかのようにリセットされていることも、ままあります。

あんなにひどいことを言っておきながら、まるで言ったことを覚えていないような…前と変わらない態度を取ってきます。それがしょっちゅうです。

アスペルガーの特性とでも考えないと、意味不明・理解不能です。

無駄に言い返すと、余計に激高(げきこう)して手がつけられなくなる危険性があります。

アスペルガー症候群の衝動性が原因でキレる夫について、小さな子の「かんしゃく」または障害児の「パニック」だととらえて、おさまるのを待つしかないと最近の私は思うようになりました。

以前は「相手を許せる、相手に譲れる」人になってほしい、変わってほしいとずっと考えていました。

夫の特性がわかってきた今、特性による長所と短所の両方を見ることの大切さを痛感しています。


私は夫と自分の状況を整理しつつ、なかなか感情を整理できずに辛さを抱えています。

正論や理想論だけをつらねていてもむなしいので、言わせてください。

「自己中で文句が多くて、ささいなことですぐに怒り出す夫」といると毎日、気苦労がたえません。すぐキレないやさしい人と結婚したかった…と悲しくなってしまいます。


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まとめ

結論としては、アスペルガー症候群の特徴と傾向をふまえて、根気強く対応するしかありません。少し、精神的にも時間・空間的にも距離をとるとストレスが軽減できます。


本人が特性を認識しない場合は周りの負担が増すことになります。

疲弊(ひへい)してカサンドラ症候群にならないように私は気をつけますので、同じ境遇の方々、ご自愛くださいませ。

※個人の性格が唯一無二であるようにアスペルガー症候群のあらわれ方もさまざまです。私の夫の例であり、参考としてください。

プロフィール

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横浜市, 神奈川県
50歳間際で夢を持った私、自分のペースで前進中⁈
まじめ過ぎる娘(高校生)、せっかちな夫、アバウトな私の3人家族がふわふわのシェルティ犬に癒されながら暮らしています。
わかった事や気持ちをを本音でシェアしたいです!(ちなみに画像は卓球のラケットとボールなんです)

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