中学校では多くの生徒が運動部または文化部に所属してほぼ毎日活動しています。まさに青春ですよね。
部活で得るものが多い一方で、時間的、精神的、身体的に負担にもなります。楽しかった部活が、きっかけ次第で嫌な苦しいものに変わってしまう事もあります。
公立中学校で運動部に入っていた私の娘の例とともに、部活がツラくなっている状況を探っていきましょう。
部活が多くて休みが少ない
学校・部・顧問により差がありますが、中学校の部活動において朝練、放課後、土日休日に渡り活動しており、休みが少ない部も珍しくありません。
文部科学省・スポーツ庁が「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を、文部科学省・文化庁が「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を定めています。
これをもとに教育委員会が市立学校部活動ガイドラインを作成しました。
娘が通う市立中学校でも、横浜市教育委員会が作成したガイドライン「調和のとれた生活の中で部活動を楽しむために」というカラー刷りのパンフレットが配布されました。
現場の実情は? |
週に平日1日以上、土日1日以上の部活動休養日の設定に加え、1日の活動時間は平日2時間程度、休日3時間程度とします。長時間の活動は精神的・体力的な負担を伴うことを踏まえ、適切な活動時間を設定しましょう。[引用抜粋:横浜市教育委員会 横浜市立学校部活動ガイドラインより]
娘の在学中、2019年3月に発行された市の教育委員会の部活動の指針には、保護者の私も以前より感じ取っていた問題点が取り上げられていました。抜粋して以下にら列します。
- 適度な部活動は、生徒の健全な成長を促しますが、過度な活動は生徒の心身の健康を損ない、意欲の低下を招きます
- 教職員の負担につながるなどの課題を生じ、結果として部活動を楽しむことが難しくなります
- 勝利を追求する過程を軽視し、勝つことだけが目的になる
- 顧問の取組 活動計画の作成にあたっては、生徒とのコミュニケーションを図って、無理のない計画を立てます
- 部活動は生涯にわたって運動や文化的活動を楽しむための入口です
自分の子供が部活で疲弊している姿を見ていたので、これからの部活動の在り方について見直しが必要だと痛感しました。
当時、平日に部活が休みになるのは土日両方が活動日になった場合で、つまり部活の休みは週に1日でした。学校行事や部活の大会が重なると本当に休むひまがなくて、子供がしんどそうでした。
※2020年新型コロナウイルスの影響が出てからは、部活動の状況も変わっています。
朝練は必要か?
新年度になると人事異動の関係で部活の顧問の先生がかわるケースがあります。顧問がかわると部の活動内容や方針が大きく変わる事があります。
娘の所属していた運動部でも新任の教諭が顧問になってから週3日の朝練が導入されました。
娘は「朝練しなくていいよー行きたくない」と言っていました。
早朝練習活動時間は7:00~8:25とされていて、6:40に家を出る必要があります。私も「大会前ならともかく、常時朝練必要ないだろー」と思っていました。
朝練の必要性に疑問を強めていた時にちょうどテレビ番組で学校の部活動の取り組み方について意見交換が行われており、Jリーグ発足の立て役者・初代チェアマンの川淵三郎氏の主張を耳にしました。
川淵さん:「オリンピックを目指すならともかく、学校の部活に朝練は必要ない」と発言されていました。
理由として、過度な練習量よりも運動と休息のバランスを大事にして、適切な練習量で質を上げるというものでした。
大賛成!!中学生は部活以外でも日々忙しいので、よく寝て朝も余裕を持てた方が良いです。
先生方も多忙な業務に加えて朝練まで実施したら負担が増えてしまいます。部活の顧問の仕事は奉仕に近いですから。
部活をやめたい理由いろいろ
仮入部期間(お試し)を経て入部するものの、しばらくすると「何か違う。合わない」って事は起こってきます。部活をやめたくなるのは数ヶ月後なのか1~2年後なのかケースバイケースです。
- やってみたら自分に合わなかった
- 人間関係に疲れた
- 顧問と生徒に温度差がある
- 体力面・精神的に練習がきつい
- 例)合唱部に入ったけどレベルや方向性が合わない
- 例)吹奏楽部は個人の失敗が全員に影響しプレッシャーが強い
- がんばってもレギュラーになれない
- 部の引退時期が遅くて受験勉強が心配
部活が嫌になる理由は様々ですが、ほぼ毎日部活はあるので避けられません。
部活は途中でやめたり、他の部に入りなおしたりできます!いやだったら無理しないで、退部・転部という選択肢があります。
内申点や人間関係などが心配かもしれませんが実はほとんど影響はありません。
部活を続けるメリット・辞めるメリット
部活はもともと自分がやりたい・挑戦したいから始めましたよね。本当は部活を継続して、自身や技術的な成長を目指していました。
ところが自分と部活が合わなくなり苦痛になっている生徒は少なくありません。
人間関係やその他の要因で、やりたくないのに無理して部活を続けている状態です。
そんな状況で部活を続けるメリットを強いて言えば、やり通した達成感でしょうか。
あとは周りの人(顧問・部員・親)に「途中で部活を辞めた」と思われなくて済む事。
でも、あなたの事を本当にわかってくれる人なら、顧問でも友人でも親でも、部活を途中で辞めた事にも理解をしめしてくれるのではないでしょうか。
- 苦しいから→部活をやめる
- 苦しくても→部活を続ける
- 部活をやめる→悩みから解放・新しくやりたい事を探す
- 部活を続ける→ストレスの蓄積・辛い毎日 最後に達成感?
誰しもみんな本当は部活を続けようと思っていました。でも、何かしらの理由で部活が苦痛になってしまったなら、やめていいです。退部・転部OKです。
社会人だって会社を辞めて転職する人は大勢います。一度入ったら最後までいなくちゃいけないなんて事はありません。人それぞれで自由です。
部活が嫌ならやめてもいい
私事ですが中学時代に部活がすごく嫌になって、やめた経験があります。
結論から言います。部活が嫌で学校や毎日がつらくなっているなら部活なんてやめてしまえば良いです。
私はバスケットボール部をやめて家庭部に入りました。転部したら悩みがふっとんで、とても気持ちがラクになりました。
中学生にとって部活を辞めるのは簡単じゃないと思います。自分がやめたらパートが欠けてしまうとか、人数が足りなくなってしまうとか、そもそも途中でやめていいのか?部活をやめにくい理由があるかもしれません。
自分だけで悩んでないで、親や先生、周りの大人に相談してみるといいですよ。
最終的には本人の気持ちが最優先です。嫌なら無理しないで部活をやめていいんです!
無理して部活を続けていてココロもカラダも苦しくなっているのに、誰も「休んでいいんだよ。やめてもいいんだよ」って言ってくれる人がいないのなら、私が言います。「無理しないで!休んでもいいし、やめてもいいんだよ」
中学校で部活に入らない生徒もいます。途中でやめる生徒もいます。横浜市の公立中学校では1年ごとに入部届けを出す(3年間続けなくてもよい)形式をとっています。
部活をやめるまで
私は中学校に入学してまもなく、友達と一緒にワクワクしながらバスケットボール部に入部しました。ところが私が運動能力の低さからバスケ部の練習が嫌になるまで、さほど時間はかかりませんでした。
自分が下手なせいで他のメンバーに迷惑がかかるのがすごく嫌でした。
練習の中に、全員が成功しないと最初からやり直しになってしまうメニューがあったのです。
女子部員全員が一列になり、バスケットゴールのボードにボールを当てて次の人がジャンプしてキャッチしてまた投げるをリズムよく続けていく練習です。(練習名はわからない)私の番でボールを取り損ねたり、うまくボールをボードに投げられなかったり…私のせいでやり直しになる事が多かったです。
スクエアパスで私は顔面でボールを受けた時には、メガネはこわれるし鼻血が出ました。
私は運動神経の悪さに加えて、目に疾患があり立体視というものができないという理由もありました。ボールの遠近感というか空間認識が正しくできないんですよね。
とにかく私はバスケットボールが下手過ぎるし、意地悪な女子キャプテンにはイヤミを言われるし、部活が本当に苦痛でした。
私は何か理由を探しては部活を休もうとしていましたが、「もうダメだ。部活やめたい!」と思い立ちました。
退部届けの出し方
私は親に相談し、目の疾患を理由にして退部願いを書いてもらいました。
特に決まったフォーマットはないので便せんなど、手書きでいいので「退部願い」のタイトルで始めて、辞める理由を簡潔に記入して親の署名を入れてもらえばいいです。
バスケ部を辞めたい一心で勇気を出して、自分で顧問の先生に退部届けを渡しに行きました。
退部届けは受け入れられて、私は晴れて自由の身になりました。何ヶ月も我慢しないで、もっと早く行動を起こせばよかった…
私は何かしら部活に入ろうと考え、家庭部に転部しました。
途中からでも問題なく家庭部の仲間入りをして、裁縫や料理、お菓子作りという平和な日々を手に入れました。
もし退部届を出すのに理由に困ったら「一身上の都合により退部させて頂きます」と書く事もできます。
保護者の署名にしておけば、顧問の先生に聞かれて困ったとしても「家族で話し合って決めました。必要であれば親に聞いてください。」と言えば、何とかなるはずです。
部活は楽しい?苦しい?
部活って本当にすばらしいです。部活で身につけた技術や知識、友達は一生の宝になります。
部活にエネルギー投入! |
部活の顧問を引き受けてくださった先生には頭が下がります。
中学校教諭の仕事量は膨大で過酷です。顧問に手当が付く訳でもなく、大会や校外活動の引率は半日~1日がかりで休日もつぶれてしまいます。
未経験の種目の顧問を頼まれる事もあり、色々な意味で先生の負担は大きいです。
経験者の先生が顧問になった場合、生徒はラッキーかもしれません。専門知識と経験にもとづいた指導が受けられます。ただし何でもバランスが重要です。
- 部の実力・方向性
- 部員の求めるもの
- 顧問の目指すもの
顧問と部員が部活動で努力を重ね、個々に力をつけていく事は、とても有意義です。
ただ成果ばかりにとらわれると、部活が苦しいと感じる生徒がでてきます。
部活 強くなりたいか 楽しくやりたいか
私の娘の例ですが、中学2年生になった時に部活の顧問の先生がかわりました。
現役選手でもある新任の顧問の先生は部員全員に「楽しくやりたいか?強くなりたいか?」一人一人に答えさせました。
娘は心の中に「?」が浮かびつつも空気を読んで「強くなりたいです」と答えました。
顧問がかわったら部内が崩壊した
顧問がかわると部活の内容・雰囲気・方向性が大きく変わる事があります。
- 朝練が導入された
- 他校との練習試合が増えた
- 生徒たちの実力が上がってきた
- 顧問と生徒の間に気持ちの溝ができた
- 部内の雰囲気が悪くなった
- 部活に行きたくない生徒がでてきた
市立中学校では春と秋に公式の大会が行われています。
季節が春から秋、冬へと進みながら以前は楽しかった部活が苦しいものに変わっている状況に部員たちが気がついていきます。
娘は当初、全日本出場レベルの実力を持つ顧問の先生(女性)を尊敬し、あこがれていました。
ところが数ヶ月後には「○○先生のおかげで、うちの部は強くなったかもしれないけど、みんなバラバラになった。あの人に弱者の気持ちはわからない」と言って娘は怒っていました。
中1の時には大好きだった部活が中2以降は嫌なものに変わってしまいました。
そんな娘の姿を見ていて私は「強くなりたいし、楽しくもやりたいから両方大事にしちゃだめですか?片方選ばないとだめですか?」って顧問の先生に聞きたかったです。
どんな結果になっても最後には先生に一言「がんばったね」って生徒のことを認めてほしかったです。
部活は誰のもの?
私が目の当たりにした実例ですが、娘の所属していた部は顧問の先生が強豪校への仲間入りを急いだ結果、部員たちとの間にあつれきが生じてしまいました。
自分の指導力で自校を強くする事が優先されて、個々の生徒が置き去りにされてしまった気がしてなりません。
自らの時間とエネルギーを生徒たちに注いでくださる顧問の先生には感謝しています。
ただ気がついてしまった事に、顧問の先生からすれば毎年新しい生徒が入ってきて在任中なら何回でもやり直しができますが、生徒たちにとって中学の部活は人生で一度きりです。入部して引退を迎えるまで長くても2年と数ヶ月という限られた期間です。
部員と方向性が合わなかった顧問の先生は、教師になったばかりで部活の顧問も初めての経験でした。熱意が空回りしてしまったのかもしれません。
成功者で強者である先生は、生徒たちのカットウを弱音と判断してしまったのかもしれません。
子供は例え大人が間違った事をしても、思いがあったなら許してくれます。もし大人が子供のためと言いながら実は自分の立場や理想を優先していたなら、子供はそれを見抜いてしまいます。
先生には初めて受け持った部員たちの反発や悲しみを教訓にして、今後の生徒たちの育成にいかしてほしいです。
先生には先生側の意見があると思いますが、私が保護者の側から感じた一つの例としてご紹介しました。
今一度、部活は何のためにやるのか?誰のものなのか?何が得られるのか?
それぞれの立場で考えたいです。
こちらの記事も部活についての考察です。