生徒・保護者から見た保健室と養護教諭 保健室登校

2020/08/18

子育て・中学

学校における保健室の役割として、従来のケガや体調不良に加えて、精神的な不調を抱える生徒の救済場所・避難場所になっています。

身体の不調 + 心の不調

この二つの不調をケアする為に保健室があります。そして「保健室の先生」のことを「養護教諭」といいます。

前回の記事で取り上げた「スクールカウンセラー」はメンタルヘルスに特化した専門家ですが非常勤型の学校が多いです。(公立の小中学校では週1回程度来校します)

養護教諭は学校職員として常勤し、生徒のココロとカラダのケアを行っています。



保健室はココロとカラダを休める場所

不登校や不登校予備軍の子供が多くなっている今、保健室と養護教諭の重要性や多様化について考える必要があります。

学校生活に不安を抱える生徒にとって保健室が頼りです。学校でのストレスで具合が悪くなった時には、ココロとカラダを休めるために保健室に向かいます。

何とか学校に行こうとがんばる子供にとって保健室はなくてはならない存在ですが、そこにも色々なジレンマがあります。

では一緒に順番に考察していきましょう。

保健室に行きたい生徒 教室に戻したい養護教諭

私の娘が中学生の時、学校で過呼吸(パニック障害)の発作を起こしたら、廊下でやり過ごす時もあれば、無理そうな時は保健室に足を運びました。

保健室でしばらく休んで教室に戻る時もあれば、早退する事もありました。

本人いわく、発作にも大中小があって、大きな発作の後は呼吸が落ち着いても頭痛や脱力感が残り、気分もすぐれない状態が続きます。


ある日、娘が発作で保健室を訪れたところ、体調不良・精神面での不調で休みに来ていた数人の生徒たちがいました。
娘の発作が落ち着いてしばらくしてから「大丈夫ー?」という声かけに始まり、保健室に居合わせた生徒たちで会話が始まりました。

「わかるー。私もそういう時あったから…今もう3年だから受験やテストもあるし、ここで休んでる場合じゃないんだけど教室に戻りたくないんだよねー」

違う学年の数人の生徒たちと、たまたま話をする機会を得て、自分の他にも「学校や教室が苦手」という声が聞けて、少し安心したそうです。

その日だけでしたが保健室で一緒になった生徒の間で気持ちを共有できて「学校が嫌なのは自分だけじゃない」と思えたと言います。


担任の先生も養護教諭の先生も「もう少しがんばれる?」とか「もう教室に戻れるでしょ?」とか極力生徒を教室に戻そうとします。

生徒たちも勉強面や内申上、教室にいた方が良いのはわかっていても、それができないから保健室にきているんですよね。

大人・先生たちにはわかってもらえないジレンマを保健室に居合わせた生徒たちで共有できたようです。

保護者が見た保健室と養護教諭

中学3年間で幾度となく、具合が悪くなった娘を学校の保健室まで私は迎えに行きました。

保健室を見渡すとベッドが2つ、長イスやテーブル、パイプイスがありました。広くて明るい部屋です。

体調不良で生徒が早退する際は、連絡を受けた保護者が学校まで迎えに行く必要があります。生徒だけで下校する事は原則できません。引き取りの際に養護教諭が体調不良の状況を説明してくれます。

娘が在学中の3年間、養護教諭が人事異動や育休などで毎年代わりました。私は3人の養護教諭と接して「人によって全然タイプが違う」印象を持ちました。

中1時の養護教諭:
私は一度しかお会いしていませんが、引き取りの際に保健室で紅茶まで入れてくださり、ゆったりとした雰囲気の中、娘の家庭での様子などに耳を傾けてくださいました。

中2時の養護教諭:
娘の過呼吸(パニック障害)の症状が一番ひどい時期で、発作が起きた状況やいきさつを伝えてくださり、寄り添う様にケアしてくださいました。

中3時の養護教諭:
引き取りの際に数回お会いしただけですが、娘いわく「あと1時間だけだから、がんばろう」とか「もう教室に戻れるでしょ」という対応がいやだったそうです。

保護者として思ったのは「もう少しだけがんばってみない?」と言う先生よりも「つらいんだね。少し休もうか」と言ってくれる先生の方が養護教諭として適性があるのではないかと感じました。(個人の感想です)

生徒の性格や状況にもよるので、近くの大人は子供に同調するべきか喝(カツ)を入れるべきか、判断が難しいです。

体温計や絆創こう包帯など
心の手当も必要

学校で具合が悪くなったら

  1. 保健室で休んで回復後教室に戻る
  2. 回復見込みがたたないので早退する
  3. 体調は落ち着いたけれど教室に戻りたくないので保健(相談)室で過ごす

保健相談室とは

ある日、娘は過呼吸の発作が落ち着いた後も気持ち的に教室に戻れませんでした。そこで案内されたのが保健相談室という部屋でした。

それまで保健相談室の存在を娘は(私も)知りませんでした。

保健室の隣に位置する保健相談室には、会議用テーブルとイス、ついたてがあり、扉の窓にはめばりがされていて中の様子は見れません。
学校によって保健相談室の呼び名、位置、形態は異なります。


娘が養護教諭に連れられて保健相談室に入ると、そこには同じクラスで不登校になっている二人の生徒がいました。教室には来ていないけれど二人は保健相談室への登校を続けていたみたいです。全然知らなかった…

二人のうち一人は女子生徒で中1の途中から不登校になっていました。
中2で娘と同じクラスになり、6月の遠足では班が一緒になり、その子とラーメンを半分こしたと言っていました。「遠足に参加できたなら、次の日から登校できたらいいな」と私はひそかに案じていました。

結局、その子が教室まで来ることはありませんでした。

私は先生とお話をする際に保健相談室に入る機会がありました。
保健室とは異なり狭くて暗いという印象を受けました。壁に向かって会議用テーブルが設置されていて、ついたてで席が仕切られており全体的に暗い雰囲気でした。

保健相談室で長時間自習を続ける生徒の事を考えると、環境面で改善の余地ありです。

保健室登校 教室とは別の居場所

学校により用意している部屋に違いはありますが、教室ではなく保健室に登校して過ごす事を「保健室登校」といいます。

ネットで見つけた保健室登校の経験談によると
  1. 申請により保健室登校が認められる
  2. 保健室登校も出席扱いになる
  3. 1日のスケジュールは自由
  4. 担任の先生や養護教諭が様子を見に来る
  5. ついたてがあって他の生徒と距離を持てる
という事がわかりました。


自習で解いた数学のレポート用紙
自習で得られるものとは


さらに自分の娘や友人のお子さんの話から推測すると、ほぼ自習なのが現状の様です。

教室に行けない→授業を受けられない→学習の機会が得られない

上記の流れを打開すべく動いた学校がありました。以前NHKスペシャルで取り上げていた学校では、教室に行けない生徒たちのために授業が受けられる新たな場所を作りました。

他の生徒たちとほとんど会わなくて済む配置で部屋を設けて、机とイス、ホワイトボードを用意して、教師がそこに入り授業ができる体制を作ったのです。

担任の先生や養護教諭が時折様子を見に来るのではなく、担当の教師を配置して保健室登校の生徒が勉強できる環境を実現していました。
その学校では3学年で10人前後の生徒たちが保健室登校をしていて、教室と全く同じとはいかないまでも学習の機会を得ていました。

このように一歩踏みきった学校がある中で、他の学校を見渡すと人材や経費などの諸事情もあってか、実際に導入するのは難しい様です。


私の知人のお母さんは、保健室登校をしている息子と一緒に家庭教師が同伴できないか学校側に打診をして許可を得ました。現状では教室に行けない我が子が学習の機会を失ったまま時間が過ぎていくのを何とかしたかったのです。

学校での子供の居場所や学習の機会を作るべく、保護者側も学校にアプローチしていく必要があるかもしれません。

学校での心の避難場所 保健室

何とか登校したい、教室に戻りたいと思う生徒にとって保健室は心を休める居場所です。がんばりたいけど、ちょっと無理そうだと思ったら保健室に避難したいんです。

いじめで辛い思いをした娘も「先生なら気の持ちようとか言わないで、弱っている人のミカタになってほしい。認めてほしい」と私に気持ちをもらしていました。

学校に行きたくない子 = 少数派・規格外

と見なす事なく、周りの大人がサポートできたらいいのに…保護者の一人としての感想です。


中学校教諭のお仕事は精神的にも肉体的にも重労働で、業務に追われながらも生徒の為に日々努めてくださっています。

先生の言葉や行動に疑問を感じた時、そこにはお互いの立場の違いがあり、守るべき優先順位に差がある事に気が付きます。

先生、生徒、保護者、それぞれに言い分があると思いますが「困っている子が安心できること」を最優先に考えていきたいです。

家庭でも学校でも子供がつらい時には、安心できる居場所や大人の存在が大切なのではないでしょうか。



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横浜市, 神奈川県
50歳間際で夢を持った私、自分のペースで前進中⁈
まじめ過ぎる娘(高校生)、せっかちな夫、アバウトな私の3人家族がふわふわのシェルティ犬に癒されながら暮らしています。
わかった事や気持ちをを本音でシェアしたいです!(ちなみに画像は卓球のラケットとボールなんです)

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