専門書に学ぶ 発達障害による考え方のクセ 

2022/11/13

家族

本人や家族が「発達障害」であることに気付けたなら、それは大きな第一歩です。生きる上で感じていた違和感の原因がつきとめられたのですから。


ところが「発達障害」であると自覚できたとしても、実は明確な対処法があるとは言えません。

本人も家族も、発達障害に関する知識を深めて、自分たちに合った行動を探し続けることになります。


最近になって、私の夫と娘が「アスペルガー症候群」さらに「注意欠如・多動症」を併せ持つかもしれないグレーゾーンであろうことがわかりました。

いわゆる「大人の発達障害」と呼ばれるものです。


夫も娘も医療機関での診断はしていなので、行動特性から推測している段階です。


二人とも生きづらさを抱えており、特に高校生の娘には過呼吸やパニック障害の症状も出ているのですが、本人が納得しないと心療内科を受診することもできません。


「発達障害」に関する有益なことが書かれている本を読んだので、備忘録としてシェアしておきたいと思います。


 


読んでおきたい発達障害の本

発達障害のある人の「ものの見方・考え方」「コミュニケーション」「感情の理解」「勉強」「仕事」に役立つヒント 下山晴彦・黒田美保監修 高岡佑壮著



ADHD(注意欠如・多動性障害)は集中力の続きにくさ・衝動的に行動する傾向などが主な特徴とされています。


ここで覚えておきたいことは、動作が落ち着いていても「頭の中」でどんどんうかんでしまう考えと対峙している「見た目にはわかりにくい多動性」も存在することです。

専門書による説明に納得

実際に発達障害の特性を家族の言動から考察していた私は、専門家による発達障害のある人の「ものの見方・考え方」の説明に合点がいきました。

夫と娘に見受けられる「定型とは言えないものの考え方」は、性格よりも特性の影響が強いと理解しました。

発達障害の特性ゆえの言動であることを念頭におかないと、精神的にきつい場面が日々でてきます。

特に覚えておきたい内容を引用してまとめておきます。
繰り返し読み返すことで、これからも対処法を見出だしていきたいからです。

悲観的な認知

【認知】
過剰にネガティブにとらえる

【行動】
重荷を背負ったまま無茶な行動をし、失敗

【感情】
重荷を背負い込み、うつ状態に

【身体】
一人で思い悩み、緊張感から体調を崩す


過剰なストレスの原因となる偏った認知などを改善させる方法として「認知行動療法」というものがあります。

[引用抜粋:P76]

覚えておきたい特徴

最悪のケースを常に想定しているので、日々スケジュールを消化していくのに心労(ストレス)を抱えています。

繰り返しと安定を強く求める気質で、変化を苦手としています。それでいて変化に敏感なので、神経をすり減らして疲れてしまいます。


神経をイメージした植物
不安感と脳神経の密接な関係


「~すべき」「~しなければならない」といった考え方による締め付けが本人や周りの人を苦しめてしまう場面が多く見られます。

柔軟な考え方が苦手

「時間は有意義に使うべきだ」という信念や多動性によって、「やらなくても別に困らないこと」まで頭に浮かんでしまい、「やらねば」と焦ってしまう場合もあるということです。

[引用抜粋:P89]

「建前とは矛盾するけれど役に立つ考え方」も存在するのだと、誰かがはっきり教える必要があるのです。

[引用抜粋:P100]

想像力や自己判断力に欠ける

「客観的事実に言及しながらほめる」のが重要。

客観的とは、観察可能であるということ→具体例をさしてほめる!「エライ すごい」では、ほめたことにならない。

[引用抜粋:P138]

「やるべきことが指定されていない、自由な学習環境」が苦手な人は多い。

課題の内容、範囲、期日が指定されずに自分で判断することが難しい。

大学への進学は、「自由な環境に放り出される」ことになるため、困ってしまうケースがでてくる。
→「困ったときは学生相談所へ行く」
 「そこで『○○○○について自分一人ではわからないので、相談したいです』と言う」

[引用抜粋:P154]

完璧主義で自分を追い込んでしまう

「様々な基準を同時に意識しながら『ほどほど』を目指す」という取り組み方は、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人が苦手とすることです。

「ものごとの全体像に注意が向きにくい」という特徴が強めの人ほど、変化への対応に苦手さを感じがちです。

ものごとの全体像をとらえる力のことを「中枢性統合」と言い、一般的に自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人は中枢性統合が弱い傾向にあるのですが、中枢性統合が弱いと「全体像」より「部分的なこと」に注意がむきやすいです。

「ASDのある人はこだわりが強い」という傾向の理由も、「部分的なことばかりに注意が向き、そこに固執してしまうから」と説明できる場合が多いです。

「自分は変化への対応に失敗するかも」という強い不安も伴いやすいです。

[引用抜粋:P164]

過敏で心配性でストレスを抱えやすい

「変化が苦手」「特定のものごとにこだわりがち」

「これまでのやり方を変えたら、何かとてもよくないことが起こるかもしれない」という不安にさいなまれる人も多いです。

「自分は変化が苦手なのだ」と自覚しておくことが重要です。

大木の向こうの空
自覚して適性をみつけたい

変化へのストレスにどう備えるか
①「状況の変化がとくに多い業種」をできる限り避ける
②「変化に対応できなかったとき、どのような行動をとるか」前もって決めておく

[引用抜粋:P182]

特性によるこだわりが周りを巻き込む

「頑張ること」への過剰なこだわりが、人を追いつめる場合もあるということです。

「全体としてのよし悪し」を意識するのが苦手
「規範通りにできないなら働かない方がいい」と感じて、完璧主義ゆえに引きこもってしまう人も珍しくありません。

「社会人はこあるべき」「大人はこうあるべき」「家族はこうあるべき」「子育てはこうあるべき」などの様々な断定をしてしまうとき、「この断定は、自分のくせによる偏った見方ではないか?」と自問するのが重要だということです。

[引用抜粋:P196]

まとめ

発達障害の特性がもたらす「考え方や行動のくせ」について、本人と周りの人が知ることが重要です。

本人は自分が正しいと思っても断定せずに、時には他者にゆずる必要があることを忘れないでほしいです。

周りの人は、発達障害の人がこだわりを主張している時には「特性がさせる行動である」とふまえた上で対応したいですね。

「発達障害の考え方のクセ」を理解しながら、お互いにゆずり合うことで衝突を減らしていくのが得策です。


[合わせて読みたい]



参考文献として紹介されていた本

大学生の発達障害 佐々木正美・梅永雄二(監修) 講談社

発達障害の大学生のためのキャンパスライフQ&A 石井京子・池嶋貫二・高橋知音 弘文堂

事例でわかる思春期・おとなの自閉スペクトラム症-当事者・家族の自己理解ガイド 大島郁葉・鈴木香苗金剛出版

自閉症スペクトラムー10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 本田秀夫 SBクリエイティブ

自閉症スペクトラム障害のある人が才能をいかすための人間関係10のルール テンプル・グランディン/ショーン・バロン 門脇陽子(訳) 明石書店

ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が上手に働くための本 林寧哲(監修) 對馬陽一郎 翔泳社

ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本 林寧哲(監修) 對馬陽一郎 翔泳社


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横浜市, 神奈川県
50歳間際で夢を持った私、自分のペースで前進中⁈
まじめ過ぎる娘(高校生)、せっかちな夫、アバウトな私の3人家族がふわふわのシェルティ犬に癒されながら暮らしています。
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